第3回 平島剛教授インタビュー

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九州大学 工学研究院 地球資源システム工学部門
平島 剛 教授

研究室URL: http://process.mine.kyushu-u.ac.jp/

平島先生の研究室では、地殻資源や廃棄物から有用な資源を回収する選別技術や、地下水・土壌汚染に対する環境修復技術についての研究を行っています。今回は、そのなかでも特に石炭関係の研究とバイオマスの研究を中心に紹介して頂きました。また、実験室で選別装置とバイオマスの処理装置を紹介して頂きました。

資源リサイクル技術・環境修復技術の探究

—早速ではございますが、先生の研究室でされています研究内容について教えて頂けますでしょうか。

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研究室紹介(PDF 0.4MB

平島教授:私達の研究室は、資源処理工学研究室(現在は、資源処理・環境修復工学研究室に変更)と言いまして、資源、例えば鉱物資源、エネルギー資源、廃棄物から出てくる循環資源、ゴミなどのリサイクル、あと、選別を行うときにどうしても水を使う、あるいは、鉱山の開発を行うときにも水を使うということで排水処理の研究を行っています。環境修復なども含めて幅広く行っているということで、そういう資源の循環、あるいは鉱物の処理、エネルギー資源の高度利用、あるいは地球にやさしい地下水浄化技術、微生物を使った資源の処理、排水処理などの広範な研究を行っています。

—まさに、環境とか循環社会の構築に役立つような研究をされているといことですね。

平島教授:そういう風に考えていますね。

未利用資源を新エネルギーに転換

—具体的にはどのようなテーマで研究されていますか。

平島教授:特に石炭関連研究ということでいきますと、水熱処理によってバイオマスとか、泥炭あるいは褐炭という高水分の未利用の資源を脱水あるいは高カロリー化しようというような研究を行っています。この背景には、やはり石炭、化石資源ですけども、可採年数が非常に長い、2000年には227年持つと言われていたのが、その8年後の2008年には、あと122年と、わずか8年間で急激に可採年数が減っている。それは、新規の炭鉱の開発が積極的になされていないということが一つの原因ですけれども、あと中国などの石炭の使用量が急激に増えてきている。そうなると、我が国が99%は海外からの依存、石炭を輸入しているわけですけども、その中でやはり新規の資源、石炭資源というものを開発していく必要がある。そのときには、どうしても今まで利用されてきていない資源ということになると、水分の多い褐炭とか、さらに泥炭。それを単純に日本に持って来るとなると、CO2の排出量が、石炭は多いものですから、それをCO2の排出量の少ないものにするということで、バイオマスと混合したような燃料を作っていく。そういことを目指して水熱処理による脱水あるいは高カロリー化する研究をひとつ行っています。

後は、同じように、高灰分、高硫黄分の石炭も未利用、あまり使われていない、石炭の中には灰分が高すぎてとか、硫黄分が高すぎて使用ができない、困難である石炭もありますので、そういうような石炭を脱灰、脱硫して低灰分、低硫黄分なクリーンな石炭にしようという研究も行っています。

あとその他に、持ってきた石炭を燃やすということになりますが、そのとき灰が出てきます。例えば1億トンの石炭を日本に輸入したとしますと、そのうち10%くらいは灰になります。ですから、その灰をですね、今度は廃棄物処理という立場になりますと、できるだけ有効利用したい。ただ、なかなかすべてを有効利用するとなると、これからは困難になるということも考えられますので、その中の有価成分をできるだけ回収したい。石炭灰の中の中空球形粒子(セノスフェア)と呼ばれている粒子がありますけれども、それを回収すると。セノスフェアというのは、1kgあたり100円から1000円くらいまでしますの で、石炭の値段よりずっと高い。だから、それを作るという立場で石炭の改質を行う、あるいは、そのようなセノスフェアが出来やすいような成分にして石炭を燃料化するというような研究を行っています。また、石炭灰からセノスフェアを回収する技術についても研究を行っています。

その他には、鉱山、石炭を開発する時には、当然石炭の中には硫黄が入っています。黄鉄鉱硫黄が入っています。それは開発した後、どうしても酸性鉱山排水の発生原にもなるということで、その鉱山排水から出てくる酸性鉱山排水の抑制についての研究、それを微生物を使ってやるとか、あるいは、先ほど話しました改質液を使って酸性鉱山排水の抑制を行うという基礎研究も行っています。

だいたい、石炭関係の研究というのはそういったところです。

専門用語の解説 水熱処理:密封装置内で試料に高温熱水を加えて加水分解を促進させる方法/泥炭:水生植物や苔類などの遺体が堆積し、酸素の乏しい条件のもとで不十分な分解を受けた土塊状のもの/褐炭:石炭化度が低く、水分や不純物の多い低品位な石炭