第2回 佐々木久郎教授インタビュー

今、注目されている研究ということで、助教の菅井先生に、地下に住む微生物のサイエンスについて紹介して頂きました。

地下に住む微生物でCO2をCH4に変換する

13.3MB, 3′13”

菅井助教:私の方では、地下に貯留したCO2をそのまま長い間ずっとCO2のまま貯留しておくわけではなく、地下にはたくさん微生物が存在していて、結構おもしろい微生物がたくさんいて、CO2をCH4(メタン)に変換するような微生物がたくさんいます。そういう微生物を人為的に活性化させてやれば、これまでは数万年、数十万年、数百万年かけて出来てきた天然ガス(メタン)が、CO2を変換してそれこそ数十年のスパンで、また天然ガスに生まれ変わる、そして、また我々が天然ガスを使うことが出来る、そういうプロセスを目指して地下の微生物に関して研究しています。これは、その一例なのですが、当然地下というのは温度が高くて、高圧であるという、しかも多孔質体ですから、特殊な環境ですので、こういう中に砂を詰めて地下を模擬したものをつくってやって、高圧なり高温の条件下で微生物を培養してとどういう風な挙動を示すのか、あるいは条件を変えてやって、その増殖を早めることが出来るのかということを、こういう中の微生物を顕微鏡で観察しながら、どう条件を変えていくかを検討しています。

—高温、高圧のまま観察されているということでしょうか。

そうですね。これが観察の一例なのですが、赤い部分が砂粒です。その表面に緑色の部分が微生物を示すのですが、砂粒の表面の部分にべったりと吸着して、微生物がバーッと増殖していく様子の一例ですね。

—この微生物というのは、そもそも地下から採ったものなのですか。

そうです。これは油田から採った微生物なんです。もともと地下に生息していたものです。

—これは、具体的には何気圧で何度くらいの条件で観察されるのですか。

これは、5 MPaですから50気圧くらいです。もちろん油田によって、あるいは炭層とかによって圧力は変わるのですけど、だいたい50気圧くらいを目安に実験をしています。微生物に必要な窒素源を人為的に供給して、この増殖がどうなるのかを観察しながら検討しているところですね。実際バイアル瓶(ビーカー)での実験では、地下の条件を再現してやって、CO2を供給してやるとメタンが出来るということを確認できています。ただ、ちょっとまだ速度が数百年レベルの速度なので、これをもっともっと短くして、数十年レベルまでもっていきたいと思っています。

—数百年でも加速されているということですよね。

そうですね。自然の天然ガスが出来る過程に比べればだいぶ早いのですけども、それでももう少し現実的なスパンに近付ければなと思っています。

—ありがとうございます。
専門用語の解説 貯留:人為的に集め、地中・水中などに封じ込めること/活性化:物質の反応性が高まること/吸着:物体の界面において、濃度が周囲よりも増加する現象のこと