第2回 佐々木久郎教授インタビュー

sasakiphoto

九州大学 工学研究院 地球資源システム工学部門
佐々木久郎 教授

研究室URL: http://reps.mine.kyushu-u.ac.jp/reps/

佐々木先生の研究室に伺い、未利用資源の開発技術や、二酸化炭素の封じ込めの研究について紹介頂きました。メタンハイドレートや炭層メタン、オイルサンドなど、経済的および技術的な難しさが理由で利用されていない、非在来型資源と呼ばれる資源の開発技術、それら資源の眠る地下の世界では、どういうことがおこっているのか、実験装置の紹介をおりまぜて話して頂きました。

CO2を圧入しながら、石炭層のメタンを回収する

—それでは、早速ですが、先生の研究内容についてご紹介頂けるということで、お話頂けますでしょうか。

11.7MB, 2′51”

最近の研究内容、トピック (1/7)

最近の注目すべき成果 (2/7)

CO2-ECBMR (3/7)

メタンハイドレート生産システム (4/7)

重質油生産方法に関する可視化研究 (5/7)

今後の研究課題 (6/7)

産業への応用 (7/7)

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佐々木教授:最近の私達の研究室ではCO2-ECBMR、これは日本語で言うとCO2を圧入しながら、石炭層のメタンを回収するというプロジェクトで、CO2の固定とメタンすなわち天然ガスの生産という二つを狙ったものです。とくに、ECBMRでは地上から超臨界と呼ばれる高圧条件でCO2を地下深い石炭層に圧入して(スライド3 ←IW)、離れた位置の生産井からメタンを回収する(スライド3 ←PW)というものです。CO2が超臨界状態で石炭層の中でどういう挙動をするかについては、まだまだ多くの解明すべき課題が残っていますから、こういうシミュレーションだけではなくて、実験装置を使った実際の測定もしてきています。

例えば、こういう石炭のコアを炭層から引き抜いて、これがどういう性質を有しているのか、CO2のようなガスがどのように透過するのか、そういう実験が必要になります。私どものところでは、こういうガスの吸収・吸着・変換、それから、高い地層応力が掛かっているもとでの石炭の浸透条件を、数値シミュレーターに入れて予測をしていくというような一連の研究をしています。

非在来型石油・ガス資源の開発技術

佐々木教授:それから、私達のところではエネルギー資源の生産システムなどの研究もしております。とくにメタンハイドレートについては、次世代のクリーンな天然ガスエネルギーとして注目されておりますので、私達は国のプロジェクトの中で85℃程度の低温度の温水を圧入しながらメタンハイドレートを分解して地上へ生産するというシステムについて研究しています。

また、世界的にみると、まだまだ石油資源は多く賦存しています。石油は40年と言われておりますが重質の石油資源を含めて、これから100年あるいは200年間石油を回収する技術、そういうものが今必要とされているのですが、とくに私達は水蒸気を入れて重質油を回収する技術を10年ほど前から研究していて、現在も南アメリカ・オリノコ川などの地域の生産プロジェクトを手掛けています。

専門用語の解説 CO2固定:二酸化炭素を人為的に集め、地中・水中などに封じ込めること/CO2-ECBMR:CO2 Enhanced Coalbed Methane Recovery CO2圧入による炭層メタンガスの増進回収とCO2固定を同時に実施する方法/超臨界:臨界点以上の温度・圧力下においた物質の状態のこと/応力:物体の内部に生じる力の大きさや作用方向を表現するために用いられる物理量/浸透率: 岩石など多孔質物体の物理的性質の一つで多孔質物体内における流体の流れやすさ/メタンハイドレード:メタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ形になっている固体結晶