第1回 深井潤教授インタビュー

炭素繊維で伝熱促進

-なるほど。具体的にこのタンクに材料を混ぜたものについてお話いただけますでしょうか。

11.7MB, 8’50”

Enhancement of shell-and-tube heat exchanger

深井教授:それで、こういうふうな研究は昔からやられておりまして、普通は、これは時間があれば後で説明しますけども、伝熱管にフィンをつけるといったものとか、伝熱管のフィンを付けたものとか、そういうふうなことで伝熱を大きくするという研究があるのですけど、あるいは、金属等を添加してやるというのがあるのですけど、どうしてもフィンなどを付けますとコスト計算しますと、とてもとても成り立たない。あと、金属等を入れますと金属の方が体積が大きくなってしまって肝心な蓄熱材の方の体積が小さくなるという欠点がありました。そこで、当研究室では、炭素繊維に注目しました。炭素繊維というのはもともと構造体として開発されているものなのですけど、特にピッチ系の炭素繊維ですと非常に熱伝導率が高いという特徴があります。高いものですと1000とか2000 W/m・Kという非常に、銅が400ですので、非常にその何倍も大きいものがとれます。そういうふうな物を使って、中の蓄熱材の熱伝導率を上げようということを始めたのが最初でございます。我々が取り組んだのはまず、こういうブラシ状のものを作りました。試験管をこう洗う時のブラシですね。こういう物を伝熱管の蓄熱材が詰まっているところに入れてやるという方法ですね。もうひとつは、伝熱管、こういう炭素繊維のシート状のものが既製品として作られています。これを伝熱管の間隔に這わせるように挿入してやって、あとは接触を良くするためにテンションを両側から張るということを行いまして、これにつきましては基礎研究から実用研究まで行っていまして、企業との共同研究で暖房用の蓄熱槽として製品化に至っております。
 

Spiral Carbon Fibres

それで、これは単に熱を貯めるということなんですけども、先程言いました4番目の熱を改質する、改良するというふうなこともやっておりまして、これにつきましては化学反応を利用するケミカルヒートポンプというものを利用してやろうということをしています。これは、固-気系の反応ですね。気相と固相の反応で固相の方は、充填層、樹脂層ですね、といった装置になります。ところが、これも蓄熱と同じで、非常に熱伝導率が低いもので、これも伝熱を速めてやらなければならない。実用化においてはそういうふうな大きな課題があります。この2つの方法を試してみたのですが、充填層ですので、この方法ではなかなかうまくいかないということが分かりまして、そこで最近、当研究室の中曽助教が、こういうふうな伝熱管に直接炭素繊維のフィンを取り付けるというような方法を考え出しまして、こういうふうなものを樹脂充填層に適用できないかという、これは、金属を使ったものは既に開発されているのですけど、コスト的な問題がどうしても出てくるという。これは複雑に見えるのですけども、貼りつけてこういう形状にもっていくのは、非常に簡単な話でして、ただ問題としましてはどうやって接着させるか、そのへんで今試しているとこるです。

専門用語の解説 フィン:材料につける羽のようなもの。フィンをつけることで熱が伝わる面積が大きくなり,熱が伝わりやすくなる。