第1回 深井潤教授インタビュー

熱の伝わる速度を大きくする

—エネルギーの貯蔵とエネルギーの改質、改良をされているということですが、具体的にどのようなことに取り組んでおられるのでしょうか。

7.6MB, 5’38”

Schematic of thermal energy storage

深井教授:例えば、このスライドは蓄熱の概略を示したものでですが、Process Aで排熱が出てきます。それを、ここに蓄熱層というものがありまして、ここに排熱を、例えば、温めた流体を流してやって熱をここに貯めるという操作をおこないます。この熱を別のプロセスで使いたいときには、貯めておいた熱をまた取り出してProcess Bで熱交換してやるということで回収するということです。こういうプロセスが蓄熱の代表的なものなのです。

—そこのタンクがキーになりそうな気がするのですが。

深井教授:そうです。ここの所で一番問題になりますのは、タンクとここの所の熱を貯める蓄熱材というのがありますが、この蓄熱材との間の熱交換の速度ですね、伝熱の速度が、今使われようとしている材料ですと非常に熱伝導率が低い、つまり伝熱の速度が非常に低いということでこれを速くしてあげないと、どうしてもここ(Process B)の実際に使いたいところのプロセスに対応できないということがございまして、我々の研究室では、ここ(タンク)の伝熱速度をいかに速くしてやるか、ついでに言いますと工業的なものですから安いコストでいかに速くしてやるかということを研究しています。

—熱の伝わるスピードというものを変えることは出来るのですか?

深井教授:二つ方法があると思うのです。ひとつは、材料固有の熱伝導率といわれる物性値を大きくするように設計してやるという方法。もうひとつは、何か補助的なものを入れて、添加物と言いますが、熱伝導率の大きなものをいれてやる方法と二つあると思います。分子設計法がもう少し広がってくれば、材料自体の物性を制御してやることができると思うのですが、このいろんな温度レベルで使いたい、材料ごとにそういう分子設計をするということは、まだ難しい段階じゃないかと思います。そこで、ここでは添加物を加えることによって熱伝導率を大きくするということを試みています。

—なるほど。蓄熱材に熱の伝わりやすいものを入れることで全体の熱の伝わりやすさがよくなるということ。そういうことでしょうか。

深井教授:そうですね。それをいかに少ない量で目的を達成するか、そこが重要になってきます。

専門用語の解説 蓄熱:熱を蓄えること/廃熱:捨てられてしまう熱のこと/伝熱:熱が伝わること/熱伝導率:熱の伝わる速さを表す物性値/物性値:材料固有の性質